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小規模事業者持続化補助金のインボイス特例(インボイス枠)について詳しく解説
目次
令和5年度の小規模事業者持続化補助金には、新たに「インボイス特例」という要件が含まれています。
2023年にインボイス制度が導入されたことを受けて、一部の事業者はインボイス事業者として登録を検討しているかもしれません。
本記事では、小規模事業者持続化補助金のインボイス特例(インボイス枠)について解説しますので、参考にしてください。
インボイス制度とは
インボイス制度は、適格請求書の発行と登録により、消費税の仕入税額控除を適用することができる制度です。ただし、取引先もインボイス事業者である必要があり、免税事業者には消費税の納付義務が発生する場合もあります。取引先がインボイス制度を採用しているかどうかを確認する必要があります。
インボイスとは
インボイスは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝える仕組みであり、現行の区分記載請求書に、登録番号・適用税率・消費税額などの記載を追加して、各種の書類やデータを作成します。
インボイス枠の概要
経済産業省は、令和3年度の補正予算において、中小企業生産性革命推進事業に対し、2,001億円の補正予算を計上しました。この資金を活用して、中小企業を支援するための各種施策が提供されます。その中で、持続化補助金とIT導入補助金の支援対象に、インボイス制度への対応を取り入れる方針が定められました。持続化補助金には、インボイス枠が新たに設けられ、IT導入補助金においては、インボイス制度への対応を考慮したITツールの導入支援が行われます。さらに、ものづくり補助金には、グリーン・デジタル分野への取り組みを支援するための特別枠が新設されました。
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化などに対応するために取り組む必要な経費の一部を補助する制度であり、インボイス枠は、インボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠で、通常枠が補助上限額50万円のところ、2倍の100万円まで引き上げられます。
令和4年度第2次補正よりインボイス特例が導入されたことにより、インボイス枠は終了しました。
小規模事業者持続化補助金のインボイス特例
2023年度(令和5年度)の小規模事業者持続化補助金において、新たな特例「インボイス特例」が導入されます。この特例は、インボイス発行事業者に対する補助上限額を上乗せするものであり、免税事業者からのインボイス発行事業者への転換時に各公募枠に対する補助上限額が50万円増額されます。ただし、補助事業の終了時点でこの要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、特例は適用されませんので注意が必要です。
補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象者は、雇用している従業員数によって業種ごとに定められており、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)は5人以下、宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他も20人以下である必要があります。また、小規模な事業者の条件として、以下の3つを満たす必要があります。
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
- 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 本補助金の受付締切日の前10か月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
また、インボイス特例の対象条件として、2021年9月30日から 2023年9月30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者に転換する事業者(インボイス転換事業者)が対象者となりますが、令和元年度および3年度補正予算事業において「インボイス枠」で採択された事業者は、令和4年度第2次補正予算の「インボイス特例」の対象外となるのでご注意ください。
補助対象経費
小規模事業者持続化補助金のインボイス特例で対象となる経費は以下の通りです。
補助対象経費科目 | 活用事例 |
機械装置等費 | 補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等 |
広報費 | 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等 |
ウェブサイト関連費 | ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、開発、運用に係る経費 |
展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料等 |
旅費 | 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費 |
開発費 | 新商品の試作品開発等に伴う経費 |
資料購入費 | 補助事業に関連する資料・図書等 |
雑役務費 | 補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用 |
借料 | 機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの) |
設備処分費 | 新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等 |
委託・外注費 | 店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須) |
さらに詳しい補助対象となる経費に関する情報は小規模事業者持続化補助金の公式サイトをご確認ください。
小規模事業者持続化補助金(インボイス特例)の申請手続きの流れ
小規模事業者持続化補助金を申請する際の流れは、以下の通りです。
1.自社が補助対象となっているかを確認した後、全国商工会議所の公式サイトで最新情報を確認のうえ、申請に必要な書類を確認・準備します。
特別枠・特例で採択され事業を実施した事業者は、追加書類が必要となります。
インボイス特例の適用要件についての詳しい内容はこちらのページからご確認ください。
2.必要書類を準備したら、電子申請もしくは郵送で書類を提出します。電子申請の場合はGビズIDプライムアカウント(gBizID)の取得が必要となります。
3.提出された書類を審査し、応募事業者すべてに対して採択または不採択の結果が通知されます。
4.交付決定通知書を受領後、申請時に提出した補助事業計画に沿って事業を進めます。
5.事業終了日を起算日として30日を経過、もしくは補助事業実績報告書の提出期限日、いずれか早い日までに補助事業の実施内容と経過内容を提出します。申請時に適格請求書発行事業者の登録通知書の写し、もしくは登録申請データの「受信通知」を印刷したものを提出していない事業者は、適格請求書発行事業者の登録通知書の写しを提出します。
審査・確認の後、補助金額が確定するので、確認後に請求すると入金されます。
6.補助事業完了から1年後の状況を「事業効果および賃金引上げ等状況報告」として、全国商工会議所が定めた期限までに行わなければなりません。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が今後の環境変化に対応し、持続的な発展を図るための支援策です。この補助金を活用することで、多岐にわたる取り組みを推進することが可能になります。
2023年度(令和5年度)第12回公募より新たにインボイス特例が適応され、インボイス発行事業者に転換する際の環境変化に対する支援が強化されます。インボイス特例対象事業者は、上限金額に 50 万円の上乗せすることができ、補助額は最大200万円まで引き上げられます。その他にも小規模事業者持続化補助金には多くの特別枠・特例が設けられています。ぜひ小規模事業者持続化補助金を活用して、持続的な発展を目指しましょう。