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事業再構築補助金の事業計画書について詳しく解説

日本政府が提供する事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響によって経済的に苦境に立たされた企業を支援するための補助金です。この補助金を受け取るためには、事業再構築補助金の公募要項に従い、事業計画書を提出する必要があります。事業計画書は、補助事業の具体的な取り組み内容、将来の展望、主な取得資産、収益計画など、多岐にわたる項目を盛り込んだ重要な文書です。この記事では、事業計画書の作成について詳しく解説していきます。

事業再構築補助金における事業計画書の役割

事業再構築補助金を申請する際には、事業計画書を作成することがとても重要です。なぜなら、この事業計画書に基づいて、補助金を受け取ることができるかどうかが審査されるからです。

ただし、補助金は要件を満たしているからといって、必ずしも受け取れるものではありません。審査が厳しく、補助金を正しく活用できると判断された事業者のみが選ばれるため、事業計画書をしっかりと作成することが必要です。

事業再構築補助金の申請は競争率が高く、前回は応募者数に対して約45%しか通過できませんでした。そのため、事業者の皆さんは事業計画書を大切にして、補助金を受け取るために最大限の努力をすることが必要です。

事業再構築補助金の事業計画書

事業再構築補助金の事業計画書は、A4サイズで計15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内)で作成する必要があります。作成する際には、会社名を1ページ目に必ず記載し、各ページにページ数を記載するようにしましょう。また、図表を使用する場合はA4サイズで内容が読み取れる大きさに貼り付けるようにしましょう。

公募要領では、様式自由となっているため、Wordなどのソフトを使用して作成し、PDF形式に変換して電子申請システムに添付するように指定されています。ただし、様式自由であるため、どのように作れば事業再構築補助金の要件を満たした事業計画書ができるか不安に思うこともあるでしょう。

事業計画書には、補助金の申請に必要な情報や、事業再構築要件を満たす内容、事業の将来展望などが含まれます。事業再構築補助金の公募要領や指針、採択事例紹介などを参考にしながら、必要な情報を漏れなく盛り込むように事業計画書を作成することが大切です。

事業計画書作成の参考資料

事業再構築補助金の事業計画書を作成する際には、以下の4つの資料が参考になります。

まず、公募要領では、補助金の制度の概要や、申請に必要な内容や審査項目などが詳しく記載されています。

事業再構築指針の手引きは、事業再構築要件について説明しており、事業計画書内で記載する必要がある要件の例も示されています。

事業再構築〜虎の巻〜は、過去の事業計画書をAIで分析した結果から得られた具体的な例が掲載されているため、事業計画書の作成方法に迷った場合には参考になります。

また、採択事例紹介「事業計画書」では、過去に採択された事業計画書が公表されており、これを参考に自身の事業計画書を作成することもできます。

事業計画書の4つの項目

事業再構築補助金の事業計画書には、以下の4つの項目が必要です。

  • 補助金事業の具体的取り組み内容
  • 将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
  • 本事業で取得する主な資産
  • 収益計画

補助金事業の具体的取り組み内容

事業再構築補助金の事業計画書では、まず「補助金事業の具体的な取り組み内容」について具体的に記載する必要があります。

この項目では、現状の事業状況や強み・弱み、事業環境、事業再構築の必要性、具体的な補助事業内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事など)や新分野展開、業態転換、事業再編などの取り組みについて、分かりやすく説明する必要があります。

現状の事業状況として、具体的なスケジュールや投資計画なども詳細に記載することが求められます。また、専門的な分野についても、図表や写真などを用いてわかりやすく具体的に説明することが必要です。

重要なポイントは、審査官が専門的な知識を持っていないこともあるため、誰が読んでも理解できるようにできるだけわかりやすく説明することです。具体的な説明や図表を用いて分かりやすく伝えましょう。

また、応募する枠(通常枠、大規模賃金引上枠、卒業枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠、グリーン成長枠、緊急対策枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、「業種転換型」)に応じて、事業再構築指針に沿った事業計画を作成する必要があります。具体的に、どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかを事業再構築指針とその手引きを確認しながら、事業計画を詳細に記載しましょう。この部分を書き漏らすと、本来応募したいと思っていた特別枠に応募できず、通常枠に応募することになってしまう可能性がありますので、十分に注意してください。

さらに、具体的に、どのような取り組みをすることで、既存事業と差別化し、競争力を強化するのかを、詳細に記載する必要があります。また、それを実現するための具体的な方法や仕組み、実施体制についても、明確に記載することが求められます。この部分は、審査官に対して、提出した事業計画が現実的かどうかを判断されるポイントになりますので、具体的かつ実現可能な取り組み内容を記載するようにしましょう。

そして、事業再構築により、既存事業の縮小や廃止が必要になる場合、従業員の解雇が発生する可能性もあるため、解雇ではなく再就職支援の計画など、従業員への適切な配慮を具体的に記載することが求められます。既存事業に従事していた従業員が、再就職先を見つけることができるよう、再就職支援の計画を詳細に策定し、実施体制も明確に示すようにしましょう。

補足として、複数の事業者が協力して事業を進める場合や、代表となる事業者が複数の事業者の取り組みをまとめて一つの事業計画として申請する場合もあります。そのような場合には、各事業者の取り組み内容や補助事業における役割などを具体的に記載することで、全体像から詳細まで伝わるようにしましょう。

将来の展望

具体的な取り組み内容を記載したら、その取り組み内容によって将来どのような成果が得られるかについて、「本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等」について記載し、価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などについても説明します。

また、「本事業の成果の事業化見込み」についても、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載し、必要に応じて図表や写真等を用いて具体的に説明します。

本事業で取得する主な資産

本事業で取得する主な資産については、単価50万円以上の建物、機械装置・システム等の名称、分類、取得予定価格等を具体的に記載します。また、補助事業実施期間中には取得財産管理台帳を整備する必要があります。

収益計画

補助事業による収益計画には、本事業の実施に必要な体制やスケジュール、資金調達計画などを具体的に記載します。また、収益計画における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載します。補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において、収益計画(表)で示された数値の伸び率の達成状況の確認を行います。

事業計画書作成のポイント

事業計画書を作成する際に最も多い悩みは、普段から作成していないため、15ページというボリュームや何をどのような順序で記載するかが分からないという点です。しかし、事業者の皆様は日々自社の経営について考えておられるため、実際に作成を始めると15ページというボリュームは多くないことに気づくことができます。事前に「ストーリー」と「記載内容」「記載順序」を決めておくことで、白紙から始めるよりもスムーズに事業計画書を作成することができます。

ストーリー性

事業計画書を作成する際は、必ず事業再構築補助金の趣旨に沿った内容を記載することが重要です。具体的には、事業再構築補助金の【事業目的】である日本経済の構造転換を促すことを意識し、【申請要件】である売上が減少していることや事業再構築指針に沿った取り組みが必要であることに加え、自社の状況に応じて新規分野展開における要件や補助事業終了後の付加価値額の増加について考慮し、大きな視点でストーリー展開を行うことが重要です。

趣旨に沿った内容

他社との差別化した商品の強み、収益性のある商品かどうか、市場規模の十分性、販売戦略などをしっかりと検討し、第三者にも納得できるような詰めの甘くない事業計画書を作成する必要があります。また、作成した事業計画書を客観的に評価するために、他者に説明することで改善の余地を見つけ出すことも大切です。

記載順序

事業計画書の記載順序には特に決まりはありませんが、公募要領のポイントは漏れずに記載することが重要です。認定支援機関では、フォーマットと質問リストを用意していることがありますので、その手順に沿って作成するとスムーズです。また、採択事例を参考にすることもできます。事業計画書の構成については、事業再構築指針に基づき、ストーリー性を基に核となるポイントを抑えて作成しましょう。

まとめ

事業再構築補助金を受けるためには、採択基準に沿った事業計画書を作成する必要があります。事業計画書作成においては、大きな視点のストーリーを描くことから始め、具体的な取り組み内容、将来の展望、本事業で取得する主な資産、そして収益計画を順を追って記載していくことが重要です。公募要領のポイントは漏れなく記載することが大切なので、事業再構築補助金のホームページに掲載されている採択事例を参考にしながら、具体的な事業計画書の構成などを確認することで魅力的な事業計画書を作成することができるでしょう。

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