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個人事業主必見!小規模事業者持続化補助金を解説

小規模事業者持続化補助金は、名称から中小企業を限定対象とされがちですが、実際には個人事業主も申請可能です。個人事業主やフリーランスがこの補助金を利用する場合には、注意すべき点があります。このため、本記事では、小規模事業者持続化補助金に興味を持っている個人事業主のために、補助金申請に関する詳細な解説を行います。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路拡大やビジネス効率化に関わる費用の一部を補助することによって、売上生産性の向上と持続可能な発展を図ることを目的として設けられた制度で、販路開拓などの支援をサポートします。販路開拓を目的とした事業者向けの補助金として位置づけられます。

この補助金には6つの枠があり、「通常枠」と「特別枠」の2つに分類することができます。

補助金の最大額は200万円、最大補助率は2/3(成長・分配強化枠の一部の類型において赤字事業者は3/4)です。2023年度(令和5年度)から、インボイス特例適用で補助額が最大250万円に引き上げられます。

小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額について

小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額は、6つの申請枠に応じて異なります。個人事業主に関連するのは通常枠ですが、他の申請枠の概要も簡単に説明します。

枠名内容補助率補助上限額
通常枠過去の「一般型」と同様3分の250万円
賃金引上げ枠事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者を支援する3分の2200万円
卒業枠小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者を支援する3分の2200万円
後継者育成枠「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者を支援する3分の2200万円
創業枠創業した事業者を重点的に政策支援する3分の2200万円

小規模事業者持続化補助金の対象者について

小規模事業者持続化補助金の対象者は、小規模事業者ということが主要な要件であり、法人や個人に関わらず、事業者に適用されます。特定の業種において定められた従業員数によって、事業者が補助金の対象となるか否かが判断されます。

業種常時使用する従業員数
製造業その他20人以下
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下

申請対象となる事業形態に関する要件は以下の通りです。なお、法人に関しては株式の保有条件や課税所得額も要件となります。

  • 個人事業主・フリーランス(開業届を出していること)
  • 法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人)
  • 特定非営利活動法人(一定の要件を満たしていること)

補助金の対象外となる事業者

ただし、以下のような事業者に該当する場合は、補助金の対象外となりますので、申請前に必ず確認することが求められます。

  • 開業届を出していない個人事業主・フリーランス(税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
  • 医師、歯科医師、助産師
  • 農協への出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
  • 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
  • 一般・公益社団法人
  • 一般・公益財団法人
  • 医療・宗教・学校・農事組合・社会福祉の各法人
  • 任意団体等

注意事項を守って、適切な支援を受けて、事業の持続的な発展に向けて取り組んでください。

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も申請可能

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主も申請することができます。

申請に際しては、業種ごとに定められた従業員数で小規模事業者か否かを判断します。なお、「常時使用する従業員数」は、個人事業主本人や派遣社員を含まないという点に留意する必要があります。

例えば、サービス業で常時使用する従業員が3人(個人事業主を除く)いる場合は、申請することが可能です。また、「個人事業主ひとりで事業を経営している」という場合でも申請することが可能です。

対象外の個人事業主

小規模事業者持続化補助金の対象となる個人事業主は、商工業者であることが条件です。一方、以下のような個人事業主は対象外となります。系統出荷による収入のみを得る個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)、医師、歯科医師、助産師などです。

創業して間もない個人事業主も申請可能?

小規模事業者持続化補助金は創業して間もない個人事業主も申請可能です。一方、創業予定の場合は申請はできません。

個人事業主が申請できる条件

個人事業主の申請要件は以下の2点です。

直近の3年間の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない

起業から3年間未満であっても、課税所得の年平均額が15億円を超えている場合、いずれかの1年が15億円超えていても、3年間の課税所得の年平均額が15億円を超えていない場合には、応募が可能です。

例として、3年目に至る個人事業主であって、過去2年間の課税所得年平均額が15億円を超えていない場合は、申請が可能です。一方、2年目に至る個人事業主であって、過去1年間の課税所得額が15億円を超えている場合は、申請ができません。

上記への該当の有無の確認のため、必要がある場合には、納税証明書等の提出を求めることがあります。

なお、申請期間中に個人事業主から法人への変更を予定している場合でも、申請は可能です。この場合は、必要書類を提出することが求められますので、ご注意ください。

本補助金の申請締切日の10ヶ月以内に、一般型または低感染リスク型ビジネス枠の小規模事業者持続化補助金が受付されていない

過去小規模事業者持続化補助金で採択されていないこと ・採択されている場合は、応募する回の申請締切日からさかのぼって10ヶ月以内に、採択されたことがないことが条件となります。

個人事業主が持続化補助金に申請するときの必要書類

小規模事業者持続化補助金の申請を行う個人事業主は、以下の書類の提出が必要です。すべての書類が揃っていないと申請ができないため、必ず準備を行ってください。以下に書類に必要な内容について説明します。

小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書

電子申請の場合は紙による提出は不要です。申請書は添付すべき書類を含め、必要な情報をすべて記載しています。

経営計画書兼補助事業計画書

応募者の概要、確認事項、経営計画、補助事業計画などを記入します。個人事業主の場合は、法人番号の欄に「なし」を明記してください。代わりにマイナンバーを記載することのないよう注意してください。

また、直近1期(1年間)の売上高および売上総利益は、正確な数字を記載することが求められますので、間違いのないよう注意してください。

補助事業計画書

この用紙は、経費の明細と資金調達方法を記載するためのものです。希望する6つの枠にチェックを入れ、この計画書を提出してください。

資金調達方法に関しては、自己資金、持続化補助金、金融機関からの借入金、その他に分類する記載が必要です。補助金は、審査などを経て数か月かかるため、申請後すぐに交付されるわけではないため、交付までの資金調達方法を記載する欄も設けられています。

事業支援計画書

様式4とも呼ばれるこの書類は、個人事業主本人が作成するものではなく、商工会・商工会議所によって作成・発行される必要があります。

事業支援計画書を受け取るためには、まず「応募時提出資料・様式集」を作成する必要があります。その後、「経営計画書」「補助事業計画書」のコピーとともに、希望の枠に関する書類などを含め、商工会・商工会議所の窓口に提出します。この作業を経ると、商工会・商工会議所から「事業支援計画書」が発行されます。

事業支援計画書の発行受付期限は、公募期間ごとに設定されているため、事前に確認してください。

補助金交付申請書

補助金交付申請書は、補助事業の開始日と完了予定日を明確に記載することが求められる書類です。収入金や事業者の適用区分に関する記載も必要です。記入漏れがないよう、3つの記入欄すべてに注意して記入することが重要です。

宣誓・同意書

宣誓・同意書は、交付要件を満たしていることや虚偽の申告がないことを宣誓するものです。すべての項目を確認し、代表者または個人事業主の氏名の欄に署名することが必要です。

電子媒体

申請書に加えて、適用者や申請枠に応じた定められた電子媒体ファイルも提出が必要です。ファイルを様式別に分け、ファイル名を付けて保存しておくようにしてください。電子データは押印前のもので問題ありません。

電子媒体の提出がない場合、採択ができませんので、提出漏れがないよう注意することが大切です。

直近の確定申告書または所得税青色申告決算書(いずれも税務署受付印のあるもの)

確定申告書を書面提出する際、表紙に受付印がない場合は、追加で納税証明書(原本)の提出が必要となります。電子申告を行った場合は、受付結果(受信通知)を印刷したものを受付印の代用として提出する必要があります。

決算期を1度も迎えていない場合

開業届の写しが許可されるのは、決算期を1回も迎えていない場合に限られます。決算期を1回以上迎えている場合は、所得額に関わらず確定申告書の写しが必要となります。

個人事業主が小規模事業者持続化補助金に申請するときのポイント

小規模事業者持続化支援金の申請には多くの書類が必要であり、手続きに時間がかかります。効率的かつスムーズな申請を行うためには、以下のポイントを押さえて手続きを進めます。

提出書類を整える

申請時に多く見られるのは、提出書類の不備です。書類の準備に二度手間をかけないために、確認しながら提出書類を整えていくことが大切です。

法人と個人事業主では、直近の確定申告書または所得税青色申告決算書または開業届(いずれも税務署受付印のあるもの)が必要となる点に違いがあります。適切な書類を準備するために注意してください。

目的に合った事業を申請する

小規模事業者持続化補助金は、支援対象経費が明確に定められており、制度の目的に合致した事業に対する申請が必要条件です。個人事業主に関しては、以下のような事業に対して申請が適用される可能性が高いと考えられます。

  • パンフレット・チラシ・ホームページなど、広告メディアの制作費
  • 新商品の開発に必要な経費 
  • 業務効率化と永続性を図るための機械の導入費

上記は一つの例であり、個人事業主の業種によっては活用の可能性がさらに広がる可能性があります。「小規模事業者の生産性の向上と持続的な発展を図る」という目的に合致する事業に対して、申請をお勧めします。

第三者に理解しやすい計画書を作成する

補助金事務局の審査員にとって初めて見た計画書でも、すぐに内容を理解できるように作成することが望まれます。特定の業種に限らない一般的な用語を使用し、要点を箇条書き形式でまとめ、図表や写真などを含めて明瞭にすることが大切です。

不安がある場合は専門家にアドバイスを得ることで、第三者の視点から再確認することも望ましいです。

計画の完成度を高める

個人事業主やフリーランスにとっては、一人で仕事をこなすことが多いため、書類作成に費やす時間が多いと通常のビジネスに影響を与える恐れがあります。特に、初めての申請の場合はますます時間がかかります。

書類作成を効率的に行い、計画の完成度を向上させるためには、行政書士やコンサルタントなどの専門家の支援を受けることが望ましいです。彼らは事業のアピールポイントも熟知しており、採択率を高めることができます。

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費

「小規模事業者持続化補助金」においては、広報費(新サービスの紹介するチラシの作成・配布、看板の設置等)やウェブサイト関連費(ウェブサイト・ECサイトの構築)などを含めた、11項目の経費が補助対象となります。

  • 機械装置等費:補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
  • 広報費:新サービスの紹介のためのチラシ作成・配布、看板の設置等
  • ウェブサイト関連費:WebサイトやECサイトの構築、更新、改修に要する経費
  • 展示会等出展費用:展示会・商談会の出展料等
  • 旅費(販路開拓用):展示会等の場所への行き来を含めた旅費
  • 開発費:新商品・システムの開発費(販売商品の原材料費は対象外)
  • 資料購入費:補助事業に関連する資料・図書等を購入するために支払われる経費
  • 雑役務費:補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員費用
  • 借料:機器・設備のリース・レンタル料(所有権の移転がないもの)
  • 設備処分費:新サービスのためのスペース確保を目的とした設備処分等
  • 委託・外注費:自社で実施困難な業務を第3者に依頼するための費用(契約が必要)

まとめ

小規模事業者持続化補助金申請は、法人のみではなく開業届を出した個人事業主やフリーランスにも対応しています。自社の販売チャネルを拡大することでビジネスの成長に寄与することができますので、補助金の利用は欠かせません。

本文中に記載した内容を参考に、申請書作成に当たって最適な形式を心がけてください。

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