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個人事業主が受けられる事業再構築補助金について解説

個人事業主が事業再生を行う場合、財政的に大きな負担がかかることがあります。しかし、そのような状況にある場合でも、事業再構築補助金を活用すれば、事業再生を支援する財政的な支援を受けることができます。事業再構築補助金は、事業再生に必要な経費の一部を補助する制度であり、労働者の給与や福利厚生費、再生計画策定にかかるコンサルティング費用、設備購入費用などが対象となります。この記事では、個人事業主が活用できる事業再構築補助金について解説します。

事業再構築補助金の申請要項や条件

事業再構築補助金の申請要項や条件は、事業再構築補助金の公式サイトの公募要領から確認することができます。個人事業主も申請可能ですが、法人と異なる条件や制限がある場合がありますので、注意深く確認することが大切です。また、申請期間や申請書類の提出方法なども公募要領に記載されているため、申請前に必ず確認しましょう。

事業再構築補助金は個人事業主も対象

事業再構築補助金は、個人事業主も含めたあらゆる事業者が対象となっています。ただし、事業再構築補助金の目的が、新型コロナウイルス感染症の影響によって打撃を受けた事業者の経営再建を支援することにあるため、コロナ前からの事業を行っている必要があります。また、一定の条件を満たす必要があります。

事業者が満たすべき条件

資本金が10億円未満

事業再構築補助金の申請条件の一つとして、対象事業者が大企業ではなく、資本金が10億円未満であることが挙げられます。個人事業主の場合は、資本金の額が定められていないため、常勤の従業員数が2,000人以下であることが代わりの条件として設けられています。

売上高等減少

具体的には、コロナ後の任意の3ヶ月間の売上高の合計金額が、コロナ前の年の同月の売上高の合計金額から10%以上減少していることが条件となります。ただし、グリーン成長枠では売上高減少要件が不要となっており、創業まもない個人事業主も申請可能となっています。個人事業主の場合は、確定申告書や売上台帳で月別の売上高を確認して、売上高減少要件を満たしているか確認する必要があります。

個人事業主が利用できる事業再構築補助金の枠

個人事業主が利用できる事業再構築補助金の枠には、通常枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠、グリーン成長枠、緊急対策枠があります。通常枠は個人事業主も申請可能で、最大2,000万円(従業員数20人以下)の補助金が得られますが、補助率は低めです。

回復・再生応援枠は、最大500万円(従業員数5人以下)の補助金が得られ、補助率は高めです。最低賃金枠は、最大500万円(従業員数5人以下)の補助金が得られます。グリーン成長枠は、技術開発や人材育成に取り組む事業者が対象で、該当する個人事業主は多くはありません。緊急対策枠は、最大1,000万円(従業員数5人以下)の補助金が得られ、採択率が高く、業種や地域を問わず申請可能です。補助金の金額や補助率は枠によって異なるため、個人事業主は自身の事業に最適な枠を選ぶことが重要です。

大規模賃金引上枠は企業対象の枠であり、個人事業主は申請できません。

個人事業主の採択率

事業再構築補助金の公募の結果として、採択件数が公表され、応募件数や採択率などの情報が提供されます。以下が過去の公募情報です。

公募期間応募件数採択件数採択率
第1回22,231件8,016件36.0%
第2回20,800件9,336件44.8%
第3回20,307件9,021件44.4%
第4回19,673件8,810件44.7%
第5回21,035件9,707件46.1%
第6回15,340件7,669件49.9%
第7回15,132件7,745件51.2%

事業再構築補助金を使って行える事業

事業再構築補助金を使って行える事業は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編という5つの類型のいずれかに当てはまる必要があります。具体的には、以下のような事業が挙げられます。

  • 新分野展開:今まで手がけていなかった新しい分野への進出や、新しい商品・サービスの開発など
  • 事業転換:既存の事業の強化や、現在手がけている事業の変更など
  • 業種転換:これまで手がけていた業種から異業種への進出など
  • 業態転換:現在の事業態様式から異なる事業態様式への変更など
  • 事業再編:事業の合併や分割、撤退など、事業の再編成を行うなど

ただし、これらの事業についても、具体的な内容や計画書が必要となります。また、補助金の使い方にも制限があるため、公募要領等で詳細を確認することが必要です。

新分野展開

新分野展開とは、既存の主たる業種や事業を変更することなく、新たな商品やサービスの提供を行うことです。主たる業種とは、個人事業主の場合には、売上高構成比率の最も高い事業が属する日本標準産業分類の大分類を指します。また、主たる事業とは、売上高構成比率の最も高い事業が属する中分類以下を指します。

事業転換

事業転換とは、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。例えば、個人事業主がジムを経営している場合、そのジムに新たにヨガスタジオを併設してヨガスタジオの売上が既存のジムの売上を上回る見込みがある場合、主たる業種が変わらないまま、主たる事業が「ジム」から「ヨガスタジオ」に変更されたと考えることができます。従って、既存の事業と同じ業種の新規事業を行い、その新規事業の売上が個人事業主や法人の中で最大の売上となる場合、事業転換に該当します。

業種転換

主たる業種を変更することを意味します。例えば、個人事業主が居酒屋を経営している場合、その居酒屋に新たに冷凍食品の製造・販売事業を加え、その冷凍食品の販売が既存の居酒屋の売上を上回る見込みがある場合、主たる業種が飲食サービス業から卸売業や小売業に変更されたと考えることができます。従って、既存の事業と異なる業種の新規事業を開始し、その新規事業の売上が個人事業主や法人の中で最大の売上となる場合、業種転換に該当します。

業態転換

業態転換とは、製品やサービスの提供方法を変更することを指します。例えば、個人事業主がヨガ教室を経営している場合、コロナ禍で対面での教室が困難になったため、オンラインスクール形式での提供を開始した場合が業態転換にあたります。

事業再編

会社法上の組織再編行為を行うことと、これまで説明してきた4つの類型をみたす新規事業を行うことを指します。会社法上の組織再編行為とは、合併や事業譲渡などのM&Aによって、企業の組織を再編することを指します。ただし、個人事業主がこの事業再編で申請することは稀であると言えます。

個人事業主の事業再構築補助金の必要書類

個人事業主が事業再構築補助金の申請に必要な書類は、基本的に法人の場合と同じです。以下が基本的な必要書類となります。ただし、申請内容や応募枠によっては追加の書類が必要になる場合もあるため、公募要領を確認しながら書類を作成してください。

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関による確認書
  • コロナ以前に比べて売上が減少したことを示す書類
  • 決算書などの財務諸表
  • 経済産業省ミラサポplusの電子申請サポートで作成した事業財務情報
  • 労働者名簿

労働者名簿については、事業再構築補助金の公式サイトに様式が用意されていないため注意が必要です。

個人事業主が注意すべき点

個人事業主が注意すべき点は、売上高減少要件を証明するために提出する必要のある書類です。法人とは異なり、個人事業主が提出する必要書類は以下の5つです。

  • 申請に使用する任意の3か月の比較対象となる、コロナ以前(2019年または2020年の1〜3月)の同じ3か月の売上が分かる確定申告書第一表の控え(1枚)
  • 1の確定申告書と同じ年度の月別売上の記載がある所得税青色申告決算書の控え(両面)(当該書類を所持している場合に限る。それ以外の場合は、対象月の月間売上が記載されている売上台帳、帳簿など他の確定申告書類を提出する必要がある。)
  • 受信通知書(1枚)(e-Taxで申告した場合に限る)
  • 申請に使用する任意の3か月の売上が記載された確定申告書第一表の控え(1枚)
  • 4の確定申告書と同じ年度の月別売上の記載がある所得税青色申告決算書の控え(両面)(当該書類を所持している場合に限る。それ以外の場合は、対象月の月間売上が記載されている売上台帳、帳簿など他の確定申告書類を提出する必要がある。)

事業再構築補助金の申請手順

個人事業主や法人が事業再構築補助金を申請するための手順は以下の通りです。

GbizIDの取得

事業再構築補助金を申請するためには、GbizIDの取得が必要です。GbizIDにはいくつか種類がありますが、GbizプライムIDを取得するようにしましょう。取得には2週間程度かかるため、事業再構築補助金の申請を検討している場合は、早めに取得しておくことが望ましいです。

ミラサポplusの会員登録

補助金の電子申請を行えるポータルサイトであるミラサポplusの会員登録を行います。GbizIDとの紐付けを行う必要があるため、GbizIDの取得後に会員登録を行うようにしましょう。

必要書類の作成

事業再構築補助金の申請に必要な書類を作成します。主な書類としては、事業計画書が必要になります。事業計画書の作成には時間がかかるため、余裕をもって準備しましょう。

電子申請

必要書類が揃ったら、ミラサポplusから電子申請を行います。申請では事業者の情報を入力し、必要書類を添付して提出します。

個人事業主が事業再構築補助金に採択されるのポイント

個人事業主が事業再構築補助金に採択されるためのポイントを抑えることで、採択率を上げることができます。例えば、以下のポイントが挙げられます。

提出する書類をしっかりと揃える

個人事業主が事業再構築補助金に採択されるためのポイントの一つは、書類不備がないように申請を行うことです。提出書類が足りていなかったり、提出した書類の様式が間違っているだけで、審査すらされずに不採択となってしまうことがあるからです。実際に過去の公募回では、書類不備により不採択となった事業者が全体の約10%にものぼったことがあります。特に個人事業主は法人と異なる提出書類があるため、注意が必要です。事業者の内部でのダブルチェックや、支援者に確認してもらうなどの対策を行い、書類不備による不採択を避けるようにしましょう。

審査項目を押さえた事業計画書の作成

個人事業主が事業再構築補助金に採択されるために最も重要なのは、事業計画書を作成する際に審査項目を適切に押さえることです。事業計画書の内容が主に採択の可否を判断する基準となるためです。

事業計画書には、個人事業主が現在どのような事業を行っているのか、事業環境がどうであり、どのような戦略をとっていく必要があるか、そして新規事業で何を行うのかなど、分かりやすく論理的に説明する必要があります。事業者でない審査官が審査するため、事業計画書は専門知識がない人でも理解できるように作成する必要があります。

さらに、事業再構築補助金の審査基準には16項目があり、これら全てを満たす必要があります。そのため、事業計画書にはそれぞれの審査項目に対応する内容を盛り込む必要があります。個人事業主でも自分で作成することはできますが、慣れていない場合は思った以上に手間がかかる場合があるため、注意が必要です。

専門家に相談

個人事業主が事業再構築補助金の申請に成功するためには、事業計画書を適切に作成し、必要書類を正確に提出することが必要です。しかし、個人事業主には、事業計画書の作成や必要書類の提出に関する専門知識が不足している場合があります。そのため、補助金の申請に精通している専門家に支援を依頼することは、採択率を上げるためにも有効な方法の一つです。専門家は事業計画書の作成だけでなく、必要書類の作成や提出まで支援してくれるため、個人事業主にとって大きな助けになります。

まとめ

事業再構築補助金は、個人事業主にとっても重要な支援制度です。通常枠や回復・再生応援枠、最低賃金枠など、様々な枠が設けられています。要件はそれぞれ異なりますが、個人事業主が申請できる枠も多くあります。ただし、事業計画書の作成が重要であるため、専門家に支援を依頼することも検討しましょう。また、補助金額は枠によって異なりますが、補助率が高い枠もあります。緊急支援対策の意味合いが強い緊急対策枠などは、不採択でも再審査が受けられることもあり、個人事業主にとっては採択しやすい枠と言えます。補助金を活用して、事業の存続や発展に向けた取り組みを行いましょう。

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